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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

そこの神田の穀物が国中の公倉へ少量ずつ配分され、それによってその倉の穀物が聖化されると云われるほど、特殊の意義を担っている。が最も有名なのは首府にある神殿である。代々のインカの布施によって、『黄金の場所』と呼ばれるほどそれは豪華なのである。首府の中央に石の壁に囲まれた広い神域があって、その中に本殿、いくつかの礼拝堂、附属の建物がある。本殿の西壁には非常な大きさの厚い金の板の上に日の神が表現せられている。中央に顔があってそこから四方八方へ光が射しているのである。エメラルドその他の宝石が一面に鏤めてある。朝、太陽が上ってくると、東の入口からこの金壁の上へ真直に光線が当って、燦然と輝き、殿堂内を幽玄な光で充たすことになる。西壁のほかにもあらゆる部分に金の板や間柱が嵌められている。蛇腹も金である。外壁にも広い金のフリーズが廻らされている。礼拝堂の一つは月の神の殿堂で、同じ構想が全部銀で表現され、蒼白い月の光を反映することになる。その他星・雷電・虹などの殿堂がある。これらすべての殿堂内に用いられている装飾や道具類も皆金銀製である。とうもろこしを盛る大きい瓶、香炉、水差し、水道の水を引く水管、それを受ける水盤、その他庭園で用いる農具の類までもすべてそうである。