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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

ここでも単位となる村はそれ自身一つの団体である。村の事件は寄合の談合において「多分」に付いて決せられる。即ち多数決である。その寄合に出席するのは村民の義務であった。「寄合ふれ(触)二度に不レ出者、五十文可レ為レ咎者也」などという罰則もあった。このような村のいくつかが集まって「組」を形成し、その組と組との間に親村枝村の関係を作ることは、京都の組町の場合と同様である。従って組郷組村の勢力は、加賀の国の場合ほど大きくはなかったにしても、江戸時代の町村のそれのように小さいものではなかった。

以上の如き組織が十五・六世紀の日本に一般に形成されていたのである。それらの自治団結は、各※(二の字点、1-2-22)の成員が連帯責任を負う緊密な団体として行動し、時には他との戦闘をも辞せなかった。かかる組織の最も好く発達していた例としては、堺の町を挙げることができるであろう。ここには殆んどヨーロッパの自由市に近いような自治的な独立都市が形成せられていた。ただ異なるところは、ヨーロッパの都市がギリシアのポリスの伝統や模範を背負っていたのに対し、ここではそういう歴史的背景がなく、従ってこの新らしい形成の意義が十分に自覚せられなかったことである。