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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
日本近海で四日四晩吹き荒れた暴風であった。ところで、探求心に煽られ外への衝動によって動いていたポルトガル人は、この偶然を単なる偶然に終らしめなかった。彼らはこの鹿児島の一富商を捉えると共に、この一人の日本人を隅から隅まで探索し、そこに日本民族を、日本の文化を、見出そうとしたのである。シャビエルは日本を目ざす前にすでにそういう仕方で日本に関する予備知識や日本人に接近する方法などを獲得していたのであった。
シャビエルはヤジローを通じて日本人が道理に支配せられる民族であること、宗教や学問に対して強い関心を抱く民族であることを知った。ヤジローがそう語ったのみならず、ヤジローやその弟、その僕などがそのことを実証した。特にヤジローの知的能力はシャビエルたちを驚嘆せしめた。マタイ伝を短期間に覚えてしまったということは、直接彼を指導したトルレスの証言しているところである。そういう点から日本人を非常に高く評価したシャビエルは、日本こそキリスト教の弘布すべき土地であると確信し、どんな危険を冒してでも日本に行こうと決心した。日本行の妨げになるのは、シナの諸港が皆ポルトガル人に叛いたということ、またシナ海日本海の風波が世界中で最も激烈であるということ、更にこの方面に海賊が非常に多いということである。