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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

博多、山口、堺はいずれも海外貿易によって栄えたところで、当時の日本の都市発生の先駆となったものである。それらの町々が日本の重要な地点であることは、当時の世間では一般に認められていたであろう。だからシャビエルもまたこれらの町々に眼をつけたのであろうが、実地を踏査してそういう新興の町こそ伝道の好適地であることを見出したらしい。山口の町では伝手を求めて領主の大内義隆に謁することが出来、領主の好奇心に答えていろいろの話をしたが、結局フェルナンデスに教義書を読ませ、日本の宗教や道徳の腐敗に対して攻撃を加えるに至った。領主は悦ばなかった。シャビエルたちは覚悟をきめ、翌日から街頭説教をはじめた。日本人が真の神を知らず偶像を礼拝すること、男色や間引きの如き不道徳に陥っていることなどを指摘し、悔改めを迫ったのである。これはフェルナンデスが日本語で述べ、シャビエルはそばで祈っていたのであった。そういう説教を彼らは山口の町のあちこちでやった。収穫はあまりなかったようであるが、しかしシャビエルにそういう行動を取らせるような何物かが山口の町にはあったのであろう。やがて彼らは海路を取って堺に向ったが、海賊の用心や相客の侮辱などでいろいろ不愉快な思いをしているうちに、彼らに同情した一人の船客が、親切にいたわって堺の知人への紹介状を書い