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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
通訳の人をつれないので、手真似で意を通じながら、平戸まで十八日かかったという。平戸ではもうシナ行の便船はなかったらしく、彼がダ・ガマの船で出発したのはその年の十月十九日である。
ところで丁度右の書簡が作られていた頃に、三人の重臣が領主を殺そうとするという事件が起った。それがこの書簡と関係のある事件であるかどうかは解らない。四年前に父の義鑑がやはり家臣に殺されたのであるから、そういう家中のもつれの続きであったかも知れない。とにかくダルカセヴァが出発してから二日の後、二月十六日に、その騒擾は激化し、府内の町は焼かれるであろう、掠奪が行われるであろう、神父は所有品を匿さなくてはならぬと信者が告げに来た。ガゴは領主の身の上を心配してフェルナンデスを見舞にやった。フェルナンデスが館に行って見ると、武士が溢れるほど詰めかけていて、どれが敵、どれが味方とも解らなかった。ただ謀叛人を討伐する軍隊の統率者数人だけが識別された。領主と話すことなどは到底出来ない、自分の首さえも危ない、と彼は心配していたが、偶然領主が彼の側の戸を開けたので、彼は領主に会ってガゴの祝福と祈りの言葉を伝えた。