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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

その病院には、貧しい信者の乳母や二頭の牝牛などを用意し、貧民の嬰児をどしどし引き取って哺育する。その嬰児は入院と同時にキリシタンにして了う。そのため領主に請願して、嬰児を殺さずに病院へ連れて行くようにという命令を発布して貰わなくてはならぬ。そういう計画であった。この計画は早速領主の前に持ち出されたが、領主の大友義鎮も非常に賛成してそれを許可した。これは多分この一五五五年の九月頃のことであったろうと思われる。間もなくダルメイダは、ガゴやフェルナンデスに伴って一度平戸まで行ったが、その秋に出帆するダ・ガマの船には乗らず、そのまま日本に留まって病院の仕事を始めたのである。

ダルメイダはこの時すべての所有をヤソ会に捧げようと決心したらしく、まだ日本へ到着しない管区長ヌネスの一行のために、船を買う資金二千クルサドを贈るとか、日本伝道に必要な画像数種をリスボンへ注文するために、麝香に投資して百クルサドを贈るとか、いろいろヤソ会のために肩を入れはじめている。

ダルメイダの最初の計画は、恐らく一五五五年の末か翌年の初めには、緒についたのであろう。しかしそれが本式の病院として大仕掛けに建設されるに至ったのは、まる一年後のことである。