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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
この釜は高価なものだということであったが、その炉や灰の清潔でキチンとしていることがダルメイダを驚かせた。やがて席につくと食物が運ばれ始める。美味は驚くに足りないが、その給仕の仕方の秩序整然として清潔を極めていることは、実に世界に比類がない、と彼は讃嘆している。食後主人サンチョの立てた濃茶の味も、出して見せた名物の蓋置きも、大した印象は与えなかったらしいが、会席の気分そのものは彼を敬服せしめたのである。
そういう仕方で日本の生活を瞥見したダルメイダは、信者たちに送られて堺を出発し、堺から三里余のところで飯盛からの迎いの船に乗った。当時は寝屋川が淀川の支流ででもあったらしく飯盛山下まで船で行けたのである。日没頃船を上り、約半里の山道を輿に担がれて、夜半近くやっと城に着いた。ビレラや信者の武士たち、その家族たちが、非常な喜びを以て彼を迎えた。
この飯盛山上の堅固な城は、今や畿内を押えている実力の所在地であった。その城の内の身分ある武士たちが、ビレラやダルメイダに対して、恰かもその主君に対する如き尊敬の態度を示しているのである。ここでビレラは一週間の間、武士たちの告解を受けた。