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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
フロイス自身の報告のみならず、ダルメイダの報告などにもその傾向が顕著に現われて来ている。ヤジロー、ロレンソ、その他九州の信者を通じて見ていた日本を、自分たちの眼ではっきりと見直そうという要求が、強く働き出したのであろう。
フロイスが京都に着いてから二カ月足らずで書いた最初の書簡は、この地の風俗について報告するという書き出しではあるが、実際は日本文化の概観というようなものになっている。先ず日本の風土から説き起し、衣食住の細かい特徴を述べた後に、この日本文化の中枢地方においては男女が通例読み書きを知っていること、身分あるものは皆礼儀正しく、教養があり、外国人に会うのを喜ぶこと、外国のことは些細な点まで知ろうとすること、生来道理に明かであること、などを力説し、次で日本の政治組織に及んでいる。日本は、首府京都に「公方様」と呼ばれる主権者がいて全国を支配していたが、地方の諸侯の独立のために今は六十六カ国に分れ、公方様はただ名目上尊ばれているだけである。実力を持った諸侯は互に他を征服しようとし、戦争の絶える時がない。京都にはもう一人、日本人が日本の首長として殆んど神の如く尊崇している神聖な君主がある。