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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
三好、松永の軍隊は翌日朝京都を引き払うことになっている。神父たちがその後まで京都に滞在することは危険である。出来るだけ早く堺もしくはビレラの滞在地に向って出発して貰いたい。途中は兵士を以て護衛する、というのであった。船二艘がすでに準備してあり、所持品の保護や関税の免除の手筈も整えてあった。なお日向守のほかにもう一人、三好義重の後見の如き職にある人も、同じような手配をしてくれた。それでもフロイスはその日に出発はしなかった。翌三十一日には命令の伝達があるであろうと待ちかまえていたのである。その命令の伝達は「われらの大敵なる二人の異教の武士」によって行われる筈であった。その予定の通りに行けば、フロイスやダミヤンは侮辱と苦痛とを受けて文字通りに追放せられたであろう。しかし三十一日の朝には、三好義重の秘書官役をつとめていたキリシタン武士が、主君と共に出発せず、部下を率いてあとに残った。そうして部下をして会堂を護らせたのみならず、追放命令を実施しようとしていた武士たちと懇談し、同日中に宣教師を連れ出すから追放令は翌日まで市内に布告しないで置いて貰うこと、彼らが追放令を持って会堂に赴かずとも彼がそれを宣教師に取次ぐべきこと、などの諒解を遂げた。