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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

汝が文案を作り、神父にこれでよいかと念を押した上、持って来るがよい。署名してやろう。そう信長は云った。工事に気を取られていた信長は、文案が面倒なのでついほって置いたのである。

そう解ると、和田惟政は迅速に事を処理した。信長の朱印状は、神父の京都居住許可、会堂に対する徴発や公課の免除、領内における保護などを表明したものであった。日附は永禄十二年四月八日(一五六九年四月二十四日)である。惟政はこの免許状を高山ダリヨに持たせて寄越し、翌日御礼言上のためにフロイスを同伴して信長の許に行った。信長は相変らず工事場にいて上機嫌であった。そうしてまた惟政に命じて工事を見物させた。惟政は城内を案内して歩きながら、フロイスに信長の扱い方を教えた。この建築の壮麗なことをお讃めなさい、また免許状の訳文をインドやポルトガルへ送って信長の恩寵を知らせるとお云いなさい、というのであった。フロイスは惟政の親切を感謝し、キリシタンになることを勧めた。惟政は笑いながら、心中はキリシタンである、信長が岐阜へ帰ったら教を聴く暇が出来るであろうと云った。

将軍義昭の免許状は一週間遅れて手に入った。