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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
フロイスが最初避難した九条村もこの日焼かれた。
この大破壊のあとで信長は再び義昭に働きかけたが、義昭は依然として応じなかった。上京や下京の市民は、市内へ手をつけないようにと熱心に信長に請願し、信長も下京に対しては焼かないという書付を与えたが、上京に対しては、答えなかった。しかし、五月三日夜に上京に起った火は、信長がつけさせたのではない。三十人ほどの掠奪隊が勝手にやったことである。信長は部下の兵士が京都の町に火を放ったのでないことを示すために、その夜軍隊を全然動かさなかった。こうして五月四日の朝には上京の三分の一以上は焼けていた。そこへ信長は軍隊を入れて、二条城包囲に都合のよいように、残存の部分をも焼き払ったのである。この上京の焼き払いでは多数の寺院の焼失が目立った。信長が上京を容赦しなかったのは、寺院が多い故であろうとも云われている。
信長は自分の築城したこの堅固な二条城、三つの堀と数カ所の稜堡を以て取巻かれたこの要害を、攻撃によって陥そうなどとはしなかった。周囲に四つの城を設け、通路を塞ぎ、糧道を絶って、包囲の態勢を整えたのである。地元の細川藤孝などがその押えを命ぜられた。