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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
あの屏風は内裏の懇望をさえ断わったほど大切にしていたのであるが、それを神父に与えて、自分が神父を尊敬するということを日本全国に知らせるのが嬉しいのだ、と。このことは直ぐに全市に伝わり、さらに周囲の諸国に広まった。屏風を観るために宣教師館に集まる人が非常に多く、三七信孝などもその一人であった。それと共に神父たちに対する尊敬も非常に高まって行った。
第二に信長の示した好意は、建築費などで困った場合には申出るがよい、補助を与えるであろうと伝えさせたことである。ワリニャーニは協議の上、会堂建築の遷延する事情を報告し、漠然と信長の外護を求めるだけに止めて、具体的な補助の要求はしなかった。
第三の好意は、ワリニャーニに豪華な夜の祭を見せたことである。ワリニャーニが暇乞に行ったときに、信長は、この祝祭を見ることを勧めた。でワリニャーニは止むを得ず祝祭の日まで十日ほど滞在を延ばした。この祭は通例町の住民が各戸で火を焚き、提灯を窓や門に吊すのみであって、城では何もしなかったのであるが、この時には信長の命によって各戸の火や提灯をやめ、城の天守閣にいろいろの色の提灯を飾らせた。