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さこく

鎖国

和辻 哲郎

日本の悲劇

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页

青空文庫

宗麟はこの子の意志の動かし難いのを見て、遂にカブラルを大村領から呼んで、数人の武士と供に洗礼を受けさせたのである。その三日後にカブラルは、府内でクリスマスを祝うために出発したが、その時宗麟はセバスチャンにも同行を命じた。ところで、府内の教会のクリスマスに参列したセバスチャンは、府内の仏教寺院を破壊するというような過激なことをはじめた。それによって領主の子や多数の武士がキリシタンとなったことを世間に周知せしめようとしたのである。これは身分あるものにキリシタンの少なかった府内においては一つの劃期的な出来事であった。

この後臼杵では青年武士の受洗者が多くなり、修養会などを作って活溌に動き出した。当時政務を執っていた宗麟の長子義統も、それに同情の態度を見せた。この形勢を見て、義統や親家の実母である宗麟夫人は、猛然として反対運動を始めた。娘たちは母の味方に附いた。彼らはあらゆる手段をつくして宗麟や義統にキリシタンを憎ましめようと計った。生憎新たに改宗した武士のうちに殿中で刃傷したり、義統の機嫌を損じたりするものが出て来た。遂に義統は母親の意に従うようになって行った。