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さこく
鎖国
和辻 哲郎
日本の悲劇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 443,306 字 · 875 页
牛肉は自国の習慣に従って食うが、馬肉は食ったことがない。その牛肉も食うなとあれば止めてもよい。奴隷売買があるのは、日本人が売るからである。われわれはそれを悲しんで防止に努めたが力及ばなかった。奴隷売買を欲しないならば、先ず売ることを禁止すべきである、と。これらの答はいかにも戦闘的である。クエリヨはかく答えると共に死に就く覚悟をしたのであった。が同夜は右近追放の通告を受けただけであった。
翌七月廿五日に秀吉は諸侯を集めて宣教師追放を公表した。宣教師たちは救いを説くことを口実として人を集め、やがて日本に大きい変革を起そうとしている。彼らは博識の人であって、巧妙な議論により多数の大身たちをたぶらかした。その欺瞞を見破ったのは自分である。今にして彼らの企図を押えなければ、一向一揆と同じになるであろう。否、彼らは、本願寺の坊主と異なり、日本の主立った領主たちを引きつけるが故に、一層危険である。神父がキリシタン大名たちを率いて叛起したならば、容易に抑えることが出来ぬであろう。かく説いて彼は追放令を示した。
一、日本は神国である。キリシタン国から邪法を伝えたのは怪しからぬ。