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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

――それを、伝右衛門はどうかして殿の許可を得て来たのである。

接客用の提げ煙草盆、見事な蒔絵で、青磁の火屋がはいっている。煙管をそえて、上の間と、下の間へさし出し、

「備えおくわけには参りませぬが、ご所望の時には、いつでも、さし出しまする。さ、十分におすい下さい」

「は……」

何かしら、粛然として、皆うつ向いた。多感で、実篤な奥田孫太夫は、眼をしばたたいているし、堀部老人は、後ろを向いて、鼻紙を鳴らした。

「さ、さ、どうぞ」

「御好意に甘えて、大石殿から先に参らせましょう」と原惣右衛門が、推しいただいた。

しばらくの間、ゆるい、紫いろの煙が、上の間からも、下の間からも流れた。

「今年も、暮れますのう」

早水藤左衛門が、煙のゆくえを見ながら話した。

「されば……」

と、伝右衛門は、何かいいかけたが、口をつぐんで、ふと、奥の物音にこういった、

「大工がはいって、お騒がしゅうござろう。その代り、初春は早々、あちらの役者の間へお移りができまする。ここは、暗うござるが、あちらなれば、庭も見え、空も見え……」

と、いいかけて、

「源蔵殿、どうなされた」

体を、無性に掻いていた赤埴源蔵が、