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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

銀洋燈

一

「一人でよろしいか」

「梯子段が狭いから、大勢上がって来ても仕方がないようであります。もし、暴れて手に余るようだったら合図をしますから」

と答えると、旗岡巡査はすぐ首を引っ込めた。

銀洋燈

一

――約十分間も経った。

屋外に立っている巡査たちには、非常な長い時間に感じられた。

三階へ上がって行った旗岡巡査が、今に何か呶鳴るか、悲鳴でもするか、悪くすれば短銃でも轟然と鳴りはしまいか――と予想していたが、その十分間は、何の物音もしなかった。

燈火の映しているカーテンの影すら揺れない。

「どうしたんだろう」

「呼んでみろ」

いい出す者があって、一人が遂に上へ向いて呶鳴った。

「旗岡っ。旗岡君っ――」

すると、燈火の洩れている窓からは遠いが、三階の一つの窓口から、

「おうい」

と、顔を出して、旗岡巡査が返辞した。

「や。……そこか、部屋がちがうぞ」

「内部から鍵を固くかけているので、今、あけるのに苦心をしておるのでして」

「じゃ、大勢して、ぶち壊して、押込もうか」

「いや――」手を振って「鍵穴から覗いて見たところ、女は、血ばしった眼つきをして、短銃をかたく掴んでおりますぞ。逆上している相手ですから侮ると怪我人を生じるでしょう。