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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

三

いやそちばかりの事ではない。わしも自分の父が石とならぬ間に――)又十郎が心から悔いて、家兄の前に慚愧の手をつかえ、修行を誓っているあいだに、いつの間にか、座から姿を消したお駒は、裏の水屋の板の間で、以前の由緒も偲ばれる懐剣で、見事に、自害して果てていた。

――兄弟は、そこからすぐ旅支度して、八重洲河岸の邸の外まで立ち廻った。塀の外からよそながら父但馬守に別れをつげたのである。去ろうとすると、喜内が追いかけて来て、たった今、云々の騒ぎと――右門とお由利の姿が見えない事を告げた。

(しまった。さては)

後を追って、探し歩いた兄達の懸命が届いて、たった一歩のところで、右門の生命は拾われたのであった。

三

月は、水に澄んでいた。柳の糸や、流れは風邪に騒いでも、月はいつか澄んでいた。

「右門、はやく帰れ。……身を大事にせい。お父上を守ってくれる者、そちだけを、頼みにして行くぞ」

十兵衛も云った。又十郎も繰返した。

「五年で帰るか、十年で戻るか、行く手も知れぬ世の中の峰をさして、わしらは修行に赴く。父上への孝道は、これ一筋と、思い極めて赴くのだ。頼むぞ、後は」

「はい……。