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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

の問題は、俄然、表面化してきた。世人は、その論議に熱した。

評定所の十四人衆から、閣老へさし出した意見書の眼目は、

浪士助命説。

だった。赤穂浪人の挙は、君臣の美徳を高揚したもので、これに、死を与えることは、道徳に死を与えるも同じである。また、赤穂浪人の行動は、御条目――武家諸法度の作法を一点も紊してはいない。だから、徒党の暴挙でないというのだった。

それは、民間の輿論と、ほとんど同じ気持だった。将軍家すらも、内心、御同意という噂がある。

だが、強硬な反対説もあらわれた。

多くは、学者である。学府の中でも、最高権威者、荻生惣右衛門はまっ先に、

浪士死罪。

を主張した。

理由は、「法」の尊厳である。

寸毫、犯すべからずと迫るのだった。

幕府は、義と法の重さに迷った。老中の意見も二分するし、ここに、上杉家という白眼で見ている一派もある。

だが、世間は輿論をあげて、浪士の助命を信じた。殊に細川家などは、台所役人から、太守までが、殺したくないので、胸がいっぱいだった。太守自身、神にまで、祈願した程であるから、情熱的に、

「助かる」「助かりましょう」

と、いいあった。