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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

――友を傷む気持と共に、三成は落胆したような暗い血を、顔いろに沈めてしまった。頼みとする唯一の者が――これでは――ああこの体では――と心で長嘆しているように。

湖の夜風が、冷々と忍んでくる。二人は、ゆれる灯影をよそに、しばらく黙然としていた。

「……だが刑部」

「うム?」

「其許の、いわゆる気は、昔ながらであろうが、眼まで、そのように不自由では、戦場へ参っても、働きはなるまいが。……それでもやはり内府の声がかりとあれば、押しても出向かねばならぬかの」

「内府の……」

聞き咎めて、

「治部、それは、皮肉か」

「世間の当りまえな考え方じゃ」

「人は知らず、刑部この体で、何の栄華栄達を望もうぞ。またこの刑部には、秀頼公は心底に在わすが、徳川内府などに、追従は持たぬ。――ただ、秀頼公おすこやかに、一日もはやく、御成人あれと祈るのみじゃ。その間は、世も泰かれと祈るのみじゃ。――為には、徳川内府の命にも応じて、戦もせずばなるまいが」

「さ……その戦が出来ようかと案じられるが」

「お身にも似合わんことを云う。一人と一人の太刀打すら、あれは剣でするのではない、精神でする。いわんや、戦を眼でするか、眼で采配がとれようか。