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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《柳生月影抄 名作短編集(二)(やぎゅうつきかげしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 173,309 字 · 352 頁

青空文庫

だが、専右衛門は、そんな不景気な面相ではなかった。小判を持っていた。外国の弗も持っていて、茶屋女などに見せびらかした。

きょうも、町の料理屋で、昼遊びしていると、

「綿屋の御主人が、お目にかかりたいといって、訪ねて、おいでになりましたが」

女中の取次を、鷹揚に、

「あ、来たのか。向うへ通しておいてくんな」

行ってみると、綿問屋の河西屋伝兵衛が、娘のお那珂を連れて、待っていた。

「専右衛門さん。こんな場所へお訪ねして来ては、野暮ですが、いつかのお話の縁談のこと、きょう娘が、御返辞したいというので連れて来ましたが」

いい難そうに伝兵衛がいうと、お那珂は、畳へ手をついて、何かいうつもりなのが、そのまま、泣きじゃくって、俯っ伏してしまった。

「はてね」

専右衛門は、嘯いて、

「その御返事なら、もう、お那珂さんからきつい肘鉄砲をいただいて、私も、諦めてしまっているところだが……」

「堪忍して下さい」

咽びながら、お那珂がいった。

「あたしの、考えちがいでした。浅慮なのが分りましたから、父に話したら、親の口からはもういえぬ。お詫びするなら、自分でいえといわれたので」

「ふウむ……じゃあ考え直したというんだね」