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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

七

道とは、こうも高いものか。

修行とは、こうも深くて遠いものか。

今まで自分のしてきたことなど、あの老剣客からくらべれば、千里の道を、十里歩いて来たほどにも近づいていないのであろう。

恥かしい。

よくもあんな広言を吐けたもの。――そうだ、この思い上がりがいけない。生兵法が邪げていたのだ。もいちど、七歳の初歩にかえろう。

鶏の声を聞くと、彼はもう木賃を出ていた。そして島田の宿端れで待っていた。果たして、まだ朝霧の中を、弥五郎一刀斎と善鬼のすがたが彼方から見えた。

もう往来の人も馬もあったが、彼は、見得も外聞もなかった。一刀斎のまえへ馳けよって、

「しばし、おとどまり下さい。昨夜の不心得者です。神子上典膳です。もはや、ゆうべのたわ言は、悉く自己の迷夢とわかりました。いかなる辛苦も辞しません。何とぞ、おそばにおいて、先生のお草鞋の緒なりと結ばせてください。……おねがいいたしまする」

大地へ額をすりつけて云った。

杖を立てて。

弥五郎一刀斎はその杖ごしにしげしげと典膳のすがたを覗いていた。善鬼はそっぽを向いている。――かなり沈黙のあいだが長かったので、典膳のむねは早、七歳の童子のように、そのあいだおどおどしていた。