Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

四

四

いつか、梅の梢に、宵月が水々しい。

短檠の灯もかすむ宵となったが、客も主も、話に飽かないのであった。

「剣の御修行へは、いかなる御発心から?」

と、伊勢守に、その動機を質されて、宗厳は、

「道に入りたいために」

と、答えた。

伊勢守は、黙ってうなずいた。

話題を転じて、

「御当家は、天慶以来、武名のきこえある武門でおわすゆえ、定めし御先祖のうちには、兵法に心を潜めたお方もおわそうな」

「特に、剣を学んだという者はございませぬ。――祖父のはなしに聞き覚えておりますことには、応仁の頃、柳生孫次郎家宗と申すのが、強弓をよく引きました由で、その頃、奈良坂八町を射通し、世間に伝えられましたため、弓の柳生よ、弓の家よ、と云われていたようでござった」

「ホ。然らば、弓にかけて、名誉なお家だの」

「祖父も、亡父も、そのせいか弓術は人なみに致したようです」

「では、剣に心を向けられたのは、御当主が初めてといえますな」

「少年の頃、筒井家に人質としていたことがあります。その折、筒井家の客となっていた神取新十郎という剣者と知りあい、後、当城へ招いて、数年のあいだ新当流を学び、その奥旨を授かりましたが――なぜか自身、どうしても、満足ができません。