Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
剣の四君子
「一念とな。それはいい発心だ。ちかって弟弟子の典膳に劣らぬよう、もういちど勉強し直すがいい。山へでも籠って」
「く、くそっ。ば、ばかな」と、善鬼は牙を噛み身をふるわせて云い返した。
「先生っ。あなたの依估ひいきな眼を正してあげるのです。あなたは、この善鬼が憎くて、典膳がおすきなのだ。怪しからん片手落ちだ。善鬼は、兄弟子ですぞ。典膳ごときに劣るものではありませんぞ」
「だから、……どうするというのか」
「いや、それよりも、先生。……もしこの善鬼が、典膳と尋常に立合って、一刀のもとに彼を斬伏せたら、あなたは何といたしますか。それから先に聞かせてください」
月明りを横にして、膝をつめよせている善鬼の血相といったらない。すでに人の見さかいを失っているのであろう。左の手は刀にふれている。典膳は垣を破ってはいろうか、このまま、控えていようか、師の心も推し測りながら迷っていた。
初代次郎右衛門以後
一
寺僧の声がした。師の部屋に青い蚊帳が吊られ、やがて善鬼の影は縁伝いに退がって行く。
典膳が戻ってみた頃、善鬼もすでに眠っていた。典膳も眠るしかない。
しかし兄弟子の寝返り打つのを、幾たびも知っていた程、彼も寝辛い夜ではあった。