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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

十七

その意味で祝杯をあげ、敢えて守勢の苦戦に臨もうではないか」

その朝、将軍は、一本の葡萄酒を空けて、幕僚一同と共に乾杯した後、宇土櫓のうえに登って行った。

焼けあとの黒銀杏の辺で、工兵が万歳の声をあげた時刻である。

他の工兵部隊は、鎮台の麓の要所要所に地雷を埋め、防柵を組みまわしていた。眼で見ただけでも、市民のいない市街の屋根と、この鎮台の山とは、濠と柵と地雷とで、はっきりと区切られた攻防線に別れていた。

「……あ。糧食課の将校と輜重隊の兵か。お、だいぶ曳いて来たな」

将軍の眼にあてている望遠鏡に、遠い市外端れの土橋や街道が映っていた。十五、六輛の車と二千頭ほどの馬の背に、米叺を積んで来る人馬の縦隊が見えたのである。

それに向って、田圃や人家の陰からびゅんびゅん弾が飛んでいた。薩兵のすがたが見えた。偵察隊であろう、薩軍のほうも人数は少ない。しかし、味方の輜重隊は彼の抜刀群に斬りまくられて算をみだし始めた。

「与倉中佐っ、与倉中佐」

櫓から下へどなった。――が、居合せないとみえて、奥少佐が駈け上がって来た。

「おっ、君でもよい、すぐ中隊をやって、今朝、市外へ糧食の徴発に行った輜重隊を援護してくれ給え。