Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
五
同時に、今朝の産声よりも高い嬰児の声がそこに流れた。後で聞けば、中佐はこの世の最後のひとみに、わが子を見ると、刮と一瞬眼をみひらき、手をもすこし挙げて、日本男児万歳をさけぶと、同時に寝床から下へその腕をだらんと垂れてしまったのだそうである。
十三
二月もすぎ、三月もこえ、四月に入ったが、鎮台はなお籠城兵に死守されていた。
「熊本を抜けば、天下の大事はわれにうごく、屍、屍、また屍を踏みこえてつき破れ。われわれの浮沈は今ここだ」
すでに郷国を立つ時、死別の杯をふくみ、西郷と共に、一死を誓って来た薩南の健児たちが、時には白刃を手に手に身を投げこみ、時には風を利して炎と共に迫り、時には山砲・野砲・臼砲を焼き爛らして、猛攻また猛攻をつづけて来たが、頑として、鎮台は陥ちない。
「ふしぎじゃ、ろくに喰べ物も喰っておらん城兵が、こう頑張るとは」
薩軍の池辺吉十郎は、試みに、勧降状を矢にむすんで、諸所の防寨に射込ませてみたが、ひとりの城兵も、降伏して出て来なかった。
また三番大隊の辺見十郎太は、植木坂の戦で官軍から獲った第十四聯隊の軍旗を、竿のさきに翻して、
「これ見よ」