Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

十六

谷司令官以下、幕僚たち数騎で、市中へ巡察に出ていると、その間に、二の丸天守閣の附近から失火が起った。

雪は霽れあがっていたが、金峰颪しの烈しい日だった。

炎は瞬くまに拡がって、本丸から飯田丸、嶽丸の重要な建物を舐めつくした。一ノ天守、二ノ天守の高楼も焼け落ちた。城下の坪井町、藪之内、京町、塩屋町などは、飛火を浴びて一円の火の海と化してしまった。

「……ああ、何たることだ。戦の前に」

ようやく、夕方には鎮火したが、消火の指揮に疲れ果てた将校たちは、焼けあとを眺めて、一時は茫然としてしまった。

――司令部ハ即時「宇土櫓」ニ移ス!

――電信ノ修復ヲ急ゲ!

――糧食課員ハ至急残存ノ在庫額ヲ調査シ参謀部ニ集合セヨ!

――各隊交代制ヲ布キ二時ズツ休眠セヨ!

――各防禦陣地ノ部署ハ寸毫変化アルベカラズ、猥リニ動クモノハ厳罰ニ処ス!

司令部付の伝令は駈けまわる。信号喇叭は高鳴る。

仰ぐと、僅かに焼け残った城廓の一端、宇土櫓のうえ高く、白い司令旗は不動の意志を示して翻っていた。

「そうだ! 火災ぐらいに気が挫けてどうする」

将士はわれに帰ると、忽ち各※(二の字点、1-2-22)の任務について、最高度の活動を起した。