Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
剣の四君子
草廬の剣
一
草廬の剣
一
新介は、その年、十六歳であった。
大和国神戸ノ庄、小柳生城の主、柳生美作守家厳の嫡男として生れ、産れ落ちた嬰児の時から、体はあまり丈夫なほうでなかった。
母なる人が、青梅の実にあたって、月盈たぬうちに早産したせいだとか。――いわゆる月足らずの子であったとみえる。
「戦に出たい。戦に連れて行って下さい」
彼も、武門の子である。合戦のあるたび父にせがんだ。
が、父の家厳は、
「そちのような弱い肉体では、戦いに出ても物の役に立たぬ。柳生の一族は、病弱な子まで狩り出したと、敵方に笑われよう。――そういう望みは断って、むしろそちは僧侶になれ、学問をしておけ。柳生家の累代、戦に次ぐ戦に、代々何十名の戦死者があったか数も知れぬほどだ。そちの兄、康太郎も二上山の合戦に討死した。叔父御もおととしの出陣から帰らなかった。……のう、そういう人々の霊を弔うべく、僧門に入るのも意義のないことではない。そちの体の生れつきひよわいのは、一族の中から一子はそれに捧げよとの、仏天のおいいつけかも知れないのだ。宿命というものである。いらざる憂悶は抱かぬがよい」
と、懇に諭すのであった。