Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

「――武士の妻が」

と、身に云い聞かせて、彼女はあわてて、家の中へかくれた。

四

この日から、京都はおろか日本中が、江戸城中に起っていた稀有な大変事のうわさに持ちきっていた。

浅野内匠頭の切腹も、忽ち伝わった。吉良家の混乱ぶりがなお話題になる。とりわけて、この後、浅野家の遺臣が、どうするか、赤穂城が、どうなるか、世間の耳目は、挙げてその動向にそそがれていた。

「お宅様でも、どんなにお驚きなすったことかと、寔にはや、胆がつぶれました。旦那様にも、即日、赤穂へお立ちとやら……。御内儀様の御心痛のほども、ほんとに、心から、お察し申しておりまする」

訪う人ごとに、留守の丹女は、こう見舞われた。

――が、彼女は、客へ微笑みをわすれなかった。と云うて、強いて気づよい振りをしてみせるのでもない。

「平素から公の事は、何も云わない良人でございますから、この度もいつもの通りに国許までというただけで、立って参りました。あとで人様から告げられて、さては、そういうことだったかと思い合せ、いまは良人の身ひとつに限らず、どうか御家臣御一統さま、すべてが、よい御処置をあそばすように、それだけを祈っているだけでございまする」