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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

老母をわすれ、妻子を懐わぬにてはなけれど、武士のぎりに命をすつる道、ぜひに及ばぬところと合点して、深くなげき給うべからず。母御さまにも、幾ほどの事もあるまじく候、いか様にもして、御臨終を見とどけて給わるべく候。

年月の心入にて、じょさいあるべしとも、露ちり思わず、申すに及ばず候え共、たのみ参らせ候。わずかの金銀家財、これを有りぎりに養育しまいらせ、御命なお長く、たから尽きたらば、共に飢え死に申さるべく候。……(大略)

今にも赤穂表は合戦にでもなるような沙汰が聞えた。城受取の使者が幕府から向けられたという。籠城の赤穂の遺臣はおそらくただは渡さないだろうという。諸説、風声、区々であった。

その中にも、十内から妻への便りは、絶えなかった。

――さてさて思いがけぬ世のありさま、昔語りにきく上也上人の太平記ようの物にて見聞せし風情、いま此身になりて、まことに風の前の燈火、葉ずえの露と争う命となり、日頃、よろずに就て深かりし慾を忘れ、心のきよきこと水の如くにて、禍は却って、出離の縁かと覚え候……。

と見えたり、また、

そこ許の住居のことも、女の身としてなんぎの程、思いやられ候ていたわしく候。