Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
「武術修行の遍歴者に、御自身、勿体ないお出迎え、いたみ入りまする。てまえが伊勢守秀綱です。――よいお構え、遠方此方、思わず眺め入りました」
宗厳も、礼を返した。
そして初めて見る高名な剣人の風貌に眼をそそいだ。
伊勢守秀綱は、永正七年の生れ、その時五十七歳にあたる。
見たところ、至極平凡人である。鄙びた老武士といおうか、素朴の一語で尽きている。
別段烱々たる眼光を持っているわけでもないし、骨格もすぐれて頑健ともみえない。ただ異っているのは、何となく、接していると、春風のような温雅な和気につつまれる。髪はまだ白くない。唇の色も歯なみも壮者と変りがない。強いて普通人よりすぐれているかと思われるところを索めればそんな点ぐらいしか、見出せなかった。
「どうぞ」
客殿へ招じると、伊勢守は、従者のうちから二人だけを伴って座敷へ通った。
座についてから、その二人を、改めて主に紹介わせた。
「こちらは、門人鈴木意伯と申す者。――また、これにおるのも、弟子の疋田文五郎でござる」
その後から、
「よろしく」
と、両人が手をつかえた。
意伯はすでに老人であり、文五郎は、元服して間もないくらいな若者だった。