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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

一

白い旋風を巻いて「戦」が翔けてくる。――五十年めの大雪だという雪かぜと共に、薩摩と肥後の国境を越えて。

明治十年の二月だった。

時の明治政府へ、

「具申尋問のため」

と唱うる薩南の健児たちは、神とも信頼している西郷隆盛を擁し、桐野・別府・篠原などの郷党の諸将に引率されて、総勢三千四百人を、二大砲隊十六小隊に組織し、

「百難道をさえぎるとも!」

と、決死の誓の下に、上京の目的を抱いて、すでに鹿児島を立っていたのである。

が、この熊本には、官の鎮台がある。彼等の通過をゆるすべきか拒むべきか。鎮台の意志は問題なく、

「たとえ陸軍大将であろうと、西郷はすでに閑職の人である。のみならず私兵を組織し、純然たる軍備をもって上京するなど、由々しい国憲の違反だ。正当な下意上達とは認められん」

というに一致していた。

また、――箇々の感情としては、

「薩南の健児に血があるというなら、熊本の男児にも鉄石の心胆がある。憂国の赤心は、彼のみのものではない」

とも云って、各※(二の字点、1-2-22)、悲壮な決意を、鎮台の司令部――熊本城のひとつに蒐めていた。

――こうした中に、熊本の町は、十八日の黄昏れを落した。