Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

と云った。

「承知しました」

「妊娠中であるとか、乳のみ児を抱えているとか、また、老年の婦人には、特に注意してやってくれい」

「はっ。……自分も充分注意しますが、婦人たちの統率はやはり婦人がよいかと思われます。閣下の奥様ともよく打合せてやることにいたしましょう」

すると、与倉中佐が傍らから云った。

「――だが、児玉少佐、閣下の奥様はどこへ来ておられるのか。お姿が見えんじゃないか」

「えっ、この中に、お在でがないって?」

「ウむ。先刻からそれとなく見ておるんじゃが、何処にもおられん」

急に人々は顧み合った。将校たちも大勢の上をつぶさに見廻した。

「わたくし達と御一緒に、お濠の下馬橋までは、与倉様の奥さまを宥りながら確かに歩いておいで遊ばしたのに」

と、共に邸を出て来た婦人たちもさわざ出して、もしや途中で何か禍いにでも遭ったのでないかと憂い合った。

そこへ聯隊副官の平佐中尉が駈けて来て、

「閣下。ただ今、岡本軍曹が帰って参りました」

と、告げた。

「何。岡本が帰って来た? 一人か」

将軍は、そう聞くと、人々が憂えている夫人の事は、意に介しないもののように、司令部の方へもどって行った。