Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

やって下さい! もう一息です! 百里の道を歩む者は九十里をもって半ばと思えといいます。あと一押しが勝つか負けるかです。九十九日勝っても、一日敗れたら何もなりません。わたくし達女も、何はできなくても、あなた方が戦っている限り、あなた方のうしろにいます。陰にあって働きます。……さあ甘くはありませんが、僅かずつですが、この萩の餅は、わたくし達の精いっぱいな心をこめたもの。……召上がって、戦って下さい。戦って下さい」

餅を配る間に立って、玖満子は、ほとんど兵隊の一人一人へ告げてまわった。心のうちで伏し拝まぬばかりな真心は、そのひとみから兵のひとみへ燃え映らずにいなかった。

十七

俄然。城兵の戦闘力は、ふたたび燃えあがって来た。命旦夕と思われた孤城は、翌日も落ちない。翌々日も落ちない。

「奇蹟だ! ……」

と、さすがの薩軍も、その革まった敵の士気が、何に原因するかを知らなかったという。

遂にそれからなお、四日も城は保った。

その日は、病棟の人々へも少しずつ頷けるため、婦人部隊がまた萩の餅をこしらえたが、玖満子夫人は、その幾つかの残りを持って、ただひとり何処へやら出て行った。