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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたは剣を持ってかかる。常に常に、剣に恃み剣に迷い剣に執着しておられる。それに反して、伊勢守はとくより剣を捨てておる。剣は持てど、剣に恃まず、剣に妄執せず、無刀の心をもって、体としておる。……いや理も体も超え、剣をすらあるとも思わず対しているのです」

「……あっ」

微かに、声を放って、宗厳はそれと共に、眸をあげた。

師と自分との、今までの距離が、心態の相違が、はっきりと心に見えた眸であった。

伊勢守は、なお語をつづけて、

「――が、それにしても、此方の申したことは、多年の体験と感得からつかみ得た単純な道理にすぎない。まだ、その理法を明らかにし、それを基本として一流の兵法を構成するまでには至っていない。それがしはすでに老年のこと、あなたはなお春秋に富む身、どうかそれを研鑚し、完成して、あなた独自の一流を興して下さい。――そこを闡明して天下を益してくれるほどな人は、御身を措いて他にはない。伊勢守は、実は非常なよろこびを以て、この半歳を送っていたのでござる。――わたくしからかくの通りお願いする」

伊勢守は、そう告げ終ると、門人たる宗厳へ、心から頭をさげた。