Japanische Klassiker mit Furigana
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme
氷の縁
一
宗矩は、家康に対して、
「父も何分老年ですから、願わくは父に代って、柳生の手勢をひっさげ、私に先鋒の一手をおいいつけ賜わりますように」
と、懇願してゆるされた。
家康がその東軍の大部隊を、野州小山から引っ返して、三州の池鯉鮒にまですすめて来たのを、逸はやく宗矩がそこまで出迎えに出た時に――であった。
大戦が終って、天下の事は徳川家に帰すと、宗矩もまた論功行賞にあずかった。
柳生本領二千石を封ぜられ、すぐ翌年、また一千石の加増をうけた。
そしてそれまでは、単に徳川秀忠の近衆のひとりであり、お相手役にすぎなかったが、以後明らかに、将軍家兵法師範という重職に登用され、但馬守に任官した。
で、かれは初めて、江戸に一家を興し、江戸柳生家の基礎をたてた。
世に出た子の将来を、そこまで見届けて、石舟斎も初めて、
「……まず、但馬もあれで」
と、安心したらしく見えた。
だが、世に巣立つ幾羽のうちには、悲運に終る子鳥もある。但馬守宗矩の兄――四男の五郎右衛門がそれであった。
元々、五郎右衛門だけは、幼年から石舟斎の規格にもはまらない豪放な性質ではあったが、その後、諸国をあるいているうちに、小早川金吾秀秋の家に仕えていると、風の便りに聞えていた。