Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

と小猿が後を追う。「ノロマのノロマの三吉や」いいながら女は裾をめぐり、築山の向こうへ行ってしまった。「キー、キー、キー」となきながら、猿がその後を追っかける。と、またもや女の影、築山の頂きへ現われた。つづいて猿が現われた。ピョンとはねると飛びついた。

「おや、とうとうとらえたね」キュッとだきしめるとベタベタと、頂きへ坐ったものである。

「ねえ、三吉」と話しかけた。「お前はほんとにノロマだよ。杉窪にいてもノロマだしお屋敷へ来てもノロマだし、ノロマのノロマの三吉や。でもね、お前は恩人だよ。お前が助けてくれなかったら、妾は今ごろ文三めに……お前はノロマで恩人だよ。……ノロマの恩人の三吉や! お前がいるからまだいいのさ。そうでなかったらさびしくて、妾は病気になってしまう。光圀様はよいお方。朱舜水先生もよいお方。そうしてお屋敷は立派で、皆さん大変親切だけれど、やっぱり妾は杉窪の方がいいよ。三吉お前もそうだろうね。山があって、野があって、林があって、森があって、風が小鳥を吹き飛ばして、お日様がカッと明るくて、大きな声でおしゃべりができて、いいわねえ杉窪は。でもね、三吉。