Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
窟の中
「おかしいねえ。何者だろう?」
「おかしいなあ。解せねえや」
「なんでもいいや。急ごうよ」
こっちが進むに従って、ひづめの音も近寄って来る。しかし距離は遠いらしい。かすかにかすかに聞こえるのである。
と、一ところ藪地が跡切れ、まるまるともりあがっている塚があった。
「あねご、こいつだ。傾城塚!」
「調べてごらんよ、足跡を!」
「どれ!」と忠三腹ばった。ここらあたりは木立がない。月光隈なく落ちている。それに照らされて一本歯のあと、巨然とそびえた塚の裾に、点々とクッキリついている。
「あねご、あった! こっちのものだ!」
「入り口をお探し。塚の入り口!」
「ヤイ野郎ども、さあ手をかせ!」
岩石と土壌と雑草とで、堅くよろわれている傾城塚、入り口はどこにあるのだろう? ただ寂然と立っている。
と、その塚の反対側にあたり、今まで聞こえていたひづめの音、急にとまって静かになった。
天草時行の一隊が、塚の向こう側へ着いたらしい。
窟の中
傾城塚の内部である。
…………
正気づいた袴広太郎が、塚の中で経験した出来事は、全く意外なものであった。
最初に知覚へのぼったのは、幾人かの女が集まって、合唱しているような声であった。