Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
変な符号
部屋の外へ消えてしまった。
酔客の歌が聞こえて来た。
「起こりそうだなあ、恐ろしいことが」
忠三胸へ腕組みをしたが、はたして恐ろしい出来事が、その夜のうちに起こったのである。
ちょうどこの頃小梅の寮では、一人広太郎が灯火の下に、例の巻軸を押しひろげ、その表に見入っていた。広大な城郭の縄張り絵図が、半分だけかかれてあるのであった。
「いったいどこの城だろう? 随分大きな城郭だが。もう一本の巻軸を継ぐと、完全な図面になるものと見える。だがいったいこんな図面が、どうしてあんなにも大切なんだろう? はてな?」とつぶやくと眼を上げた。金目垣の向こうに何者か、いるような気勢がしたからである。
変な符号
何か白いものが浮かんでいる。「おや!」と一層のぞき込んだ時、フワリと横へそれてしまった。「おかしいなあ、何だろう?」心にかかったが立ちもあがらず、再び絵画面に見入ったが、これが悪運の基であった。
「いやそれにしてもお町という女、いかにも変った性質ではある。杉窪の里の裏山で、ゆくりなく拾ったこの巻軸、多くの人の争うところを見れば、大切なものと思われる。しかし拙者には不用の品、差し上げましょうといったところ、以前はほしゅうございましたが、今はほしいとは思いません。