Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
君尾の運命?
絶壁に懸かった藤蔓づたい、身軽に忠三、スルスルとおりた。
ほとんど死骸の広太郎を、しっかりだきしめたイスラエルのお町、ワナワナ全身をふるわせている。
谷底から忠三の声がした。「あねご、大変だ、大変だ!」
君尾の運命?
「大変だ」と叫ぶ忠三の声、お町の耳へははいらない。お町うっとりと考え込んでしまった。
「不思議だねえ。夢のようだよ」まずつぶやいたものである。
「あの夜南蛮屋の南蛮部屋で、はじめてこの人と逢った時から、妾の心は変ってしまった。巻軸の秘密、ほしくもなく、ほしいのはこの人だった。どんなことをしたって手に入れよう。恋だわねえ、初恋ってやつさ」またここでじいッと考え込んだ。「それからというもの忠三にいいつけ、この人の様子を探らせていると、にわかに旅へ出たとのこと。『忠三のばかめ、目つけておいで!』毒づいてやったら可哀そうに、それでもあっちこっち聞き合わせたあげく、杉窪とかいう別天地へ、入り込んだらしいという人の噂。では行こうと出かけると、あのいやらしい城之介め、ついてついてつき廻る。中途でマイて来てみれば……こんな姿になっておられる。……それでも縁はあったってものさ。