Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
鏘然太刀音
と、ボーッと火が立った。放火したのだ! 家が燃える。その光にボッと照らされて、一人こっちへ泳いで来る。
鏘然太刀音
火事の光にボッと照らされて、一人こっちへ泳いでくる。「網をのがれた曲者だな」こう思ったが広太郎、自分がとり方というではなし、取り抑えようとはしなかった。だが充分の好奇心、桜の木蔭へ身を隠し、じっと様子をうかがった。泳ぎついたその曲者、岸へ上がるとまず袂、キューッと水をしぼるらしい。それから裾の水をしぼり、スルスルと土手へ上がって来た。月はあったが桜の葉越し、光が充分に届かない。ただ人一倍たけが高く、肩に燦と白髪が波打っているのが見て取れた。老人かな? それにしては、ヌッと伸びた腰つきが、そうではないと裏切っている。チラリと火事の方を見返ったが、何やら口の中でつぶやいた。と、ふところへ手を入れた。取り出したのは小長い物、そいつを頭上へズイと上げ、そろそろ一方へ開くのを見れば、間違いのない巻軸だ。
「有難え、ぬれてはいない」よっぽどうれしかったに相違ない。こうハッキリつぶやいたものだ。
木蔭で見ていた広太郎、ムラムラ好奇心がつのって来た。