Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

平和と処女性

と返って来る。

広太郎は眠りはしなかった。じっと考えにふけっていた。

「さわってはいけない、過ぎ去ったことへ!」口の中でつぶやいた。

平和と処女性

「おれは何にも知りたくない。おれはなんにも聞きたくない。過去をほじくるということは、ろくな結果を持って来ない。現在だけで結構だ。ひとの過去も知りたくない。自分の過去も知らせたくない。それでいいのだ」

お京の膝を枕にし、袴広太郎は考えた。「ききたいことは沢山ある。あの夜小松原の屋敷から、どうして突然身をくらませ、今日までどこにいたのだろう? そうしてどういう理由があって、こんな木地師の郷などへ、この娘は入り込んで来たのだろう? これからこの娘はどうするつもりか? ……がそんなことはどうでもいい。おれにとっては初恋人、そのお京様と逢ったのだ。もうそれだけでいいではないか。なんにも苦情をいうところはない。君尾にしろお町にしろ、こうなっては影が薄い。なんといっても初恋人、このお京様のなつかしさは、おれには何物にも換えがたい」

これが広太郎の心持ちであった。

お京の心持ちはわからない。

しかしやっぱり広太郎と同じに、いうまい聞くまいとしているらしい。