Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
変わった二人
楽しい生活、彼らにあれよ!
さて倏忽と月日が経ち、冬が信濃へ訪れてきた。雪に蔽われた富士見高原、寒々として真っ白だ。そこへ現われた二つの人影、虚無僧姿のイスラエルのお町、道中師風の早引の忠三。
ふもとの方へ下って行く。
変わった二人
麓の方へ下って行く。サクサクサクサクと音がする。踏まれて雪がきしるのである。雪が反射する真昼である。窪地の蔭がむらさきに見える。地上二、三尺の空間には、虹がポーッと立っている。烏! 梢に止まっている。物思わしそうに鳴こうともしない。
「ねえ忠三様」とお町がいった。なんとやさしい穏やかな、そうしてつつましい声なんだろう。
「やっぱりお祖父様はご最後になって、神様を信じたのでございますわねえ」
「はいさようでございますとも。イマニエル司僧様はお逝くなりになる時、昔どおりの信者になられました」なんと忠三のそういった声も、つつましく真面目のことだろう。
「でもお祖父様はご自分のためには、しまいまでお祈りをしませんでした」
「お嬢様のおためには祈られました」
「神よ、私をおにくしみください。しかし憐れな孫娘ばかりは、どうぞお守りくださいまし! こうお祖父様はいいましたのね」