Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
純な心
でも助けてはくださらなかった。……あの方どこにおいでだろう。……いいお月夜! 思い出すわねえ」
月の光に顔が浮かび、夕顔の花のように真っ白だ。眼のひとところだけキラキラと、露でもおりたか光っていた。涙というものに相違ない。
じっと見ていた早引忠三、「ううむ」とまずもって感心した。
「町の女とはまるで違う。なんといったらよいだろう? 野からうまれた阿魔っ子だなあ」
その時猿がキーとなき、忠三の方を指さした。
「どなた?」という女の声。
「へい」と忠三やみから出た。
純な心
とうとう目付けられた早引の忠三、闇の中から踏み出した。
「明るい晩でございます」トボケた調子で声を掛けた。
「ええほんとに、昼間のようね」無邪気な君尾の声である。
「あのどちらからいらしったの」
「へい」といったが返辞が出来ない。「よいお月夜でございます」
「鷺でも飛びそうでございますのね。……でも、どちらからいらしったの?」
「裏門からでございます」
「なんのご用でいらしったの」
「うん」とつまったが、「かまうものかひとつ、この娘をおどしてやれ。……お嬢様!」と恐ろしい声で、「あっしは大泥棒でございますよ」