Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
「お待ちよ、お待ちよ!」とイスラエルのお町、小門から外へ駈け出した。
ネロはズンズン走って行く。後からお町が走って行く。今夜も明月、あたり明るく、紗を張ったようにあおざめている。
一匹のけものと一人の女、走る走る東北へ! 三囲から牛御前、長命寺から須崎たんぼ! 一面の野面、諸所に林、人家乏しく、耕地も乏しい。左に見えるは隅田堤、背を高め、背を低め、土を引っ掻き、土をかぎ、突然高くはねるかと思うと、悲しそうに鳴いてはい廻ったり、ネロは夢中で案内する。その後をつけるイスラエルのお町、恋と不安とで狂人である。
「ネロやネロや、早くお行き! 何をしているのさ。早くお行き!」夢中になって追い立てる。
一匹のけものと一人の女、こうしてだんだん進んでゆく。
ところでこの頃島原城之介、どこを走っていたかというに、蓮華寺の背後藪地の前を、例の蛾のように白々と、月光を浴びて走っていた。と、スタスタとうしろから、追いせまって来る足音がした。ギョッとして振り返ったそのとたん。
「島原!」と斬り込んで来たものがある。
罵る島原
「島原!」と叫んで斬り込んで来た人影、月光に見れば額に傷、すなわち天草時行の片腕、九州浪人長崎左源太。