Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
広太郎は憂鬱になって来た。「だから傷つけて見たくもなる」
次第に皮肉な考え方になる。
「全く神様というものは、さも崇高に立っている。だから」
とまたも皮肉になった。「ちょっと穢して見たくもなる」
次第に残忍な考え方になる。
「誘惑の手を伸べたなら……神様神様としたこの娘、転がって来るのではあるまいか?」
「いけない、いけない」と払いのけた。「傾城塚での蠱惑が、亡霊のようにつきまとっている。しかし」とやっぱり考えられた。「傾城塚でのあの光景、女の真相ではあるまいかな」自然不作法にならざるを得ない、眼をズーッとあげていった。その視線のとまったところに、お京の胸がもりあがっていた。豊かな乳があるのだろう。広太郎は息苦しくなった。「この膝枕も無邪気からかしら? それとも意味のある誘惑からかしら」
そのやわらかさ、その温かさ、その弾力、その脈搏! 広太郎の情熱をそそっている。
その時お京の声がした。
「お起きなさりませ、袴様」
起きあがると広太郎端坐した。
「何を考えておられました」とがめるような声ではない。憐れむような声でもない。悲しみに充ちた声である。
広太郎には返辞が出来なかった。