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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

立てかけてある槍や弓、火光にチラチラ光っている。時々火の先が千切れて飛ぶ。とそいつがヒラヒラと、空にむかって飛んで行く。空にはいっぱい星がある。星が酒もりの場を見おろしている。

「槍には三位の位がある。いわば武器の王様だ。どいつだ、王様を馬鹿にするのは!」わめいているのは丸橋忠弥、朱塗りの杯が膝の前にある。かがり火に映じて杯のふちが、血でも垂れそうにぬれて見える。

「よろしいよろしい、槍は三位。ところで貴殿は槍の名人、そこで貴殿も三位の位。まあさ三位氏一人で飲まずに、杯をこっちへ廻したまえ」こういったのは柴田三郎兵衛、忠弥の前に坐っている。酒が発して顔が赤く、笑みを含んで穏やかである。しかし依然として皮肉である。

「杯を廻せ? ばかをいえ! 拙者に備わった杯だ! 一人で飲む。やらぬやらぬ! おっ、なんだ、柴田の兄貴か! アッハハハ献じよう」忠弥の顔は蒼白い。内に籠る酒らしい。眼が据わってギラギラしている。「柴田の兄貴には一目置くわい。さあさあ誰かついでやってくれ」

少し離れた片隅で、四、五人の者が興じている。その一群の頭上をつらぬき、一本の棹が伸びている。