Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「それならば、お言葉をお聞かせ下さりませ。わたくしは賤しいものでござりまするけれど、殿様のお家には二つとないまことのお血筋……そのお血筋がおいとしいために恥を忍んで上りました、殿様のお言葉一つによって、わたくしはこの場で死にまする」
「またしても短気なことを……」
「いいえ、短気なことではありませぬ、わたくしの小さい胸で、考えて考え抜いた覚悟の上でござりまする。殿様のお言葉次第によって、わたくしもこの世にはおられませぬ、恐れ多い殿様のお血筋を、わたくしと一緒にあの世へおつれ申すのが不憫でござりまする、それ故に……」
お君は歔欷り上げて泣きました。
「能登守殿は近いうち、洋行なさるというておられた」
兵馬は要領をそらして、何とつかずにこう言いました。
「洋行なさるとは?」
「この日本の土地を離れて、遠い外国へおいであそばすそうじゃ」
「エエ、遠い外国へ?」
お君は涙を払って兵馬の面を見つめました。問い返す言葉にも力がありました。兵馬が何とつかずに言ったことが、お君の胸には手強い響きを与えたもののようであります。
「能登守殿がおっしゃるには、自分はもう今の世では望みのない身体じゃ、この隙に西洋を見て来たい、いずれ万事は帰ってから後のこと。