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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

で、ひそかに、

――御赦免となった時。

――遠島に処せられた時。

――死罪の時。

三つの場合を予想して、急場に、まごつかない準備をしていた。

伝右衛門などは、殊に、十七士が細川家に永預けになる場合は、当然お召抱えの沙汰があろうし、また、時服と同時に、大小の入用はきまっているから、その時に役立つようにと、秘蔵の古刀、新刀十本を、疾くから刀屋へ手入れにやって、独りで、澄ましこんでいた。

「梅が咲いたの。――あの衆に、はやく、晴々と、今年の花を見せたいが」

もう、一月の末。

その日も、非番で、伝右衛門は自宅へ戻るところだった。

金杉まで来ると、若党が、

「あれ、旦那様、また」

鞍つぼへ寄って、主人の袴を引いた。将監橋の上に、くっきりと、濃い紫、白い顔が、見えた。

「ウーム、気狂いじゃろう」

「この辺でも、そう申しておりまする」

「若いのう」

「怖い程、美い女で」

「不愍な……。ちょうど、お麗と、同じ年ぐらいではないか」

「お嬢様と申せば、お嬢様も近頃は、どこか御気分がすぐれぬように存じますが」

「そちの眼にも、痩せたとみえるか」

「ちと、御血色が」

「うむ……」

帰ると、きょうは修蔵もいた。