Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

十六

それに続いて、群衆の中からも幾人か蹴つまずきながら飛んで行った。

慌ただしく戸を外された小屋の中へ、きょうも澄みきった空の光と青田一万石を越えてくる風がさっと入った。

「――あれっ、お父さまっ! ……お、おとう様あッ」

お珠は、父の体にしがみついて、声かぎりの泣き声を投げつけた。

十六

棟方与右衛門は、一室の中央に、何もかも覚悟の上らしく、整然と片づけた中に腹を切って俯っ伏していた。

――彼はかすかに顔を揺るがした。苦しげな息とも聞えないがもう弱々しかった。

「……お珠、た、たれか。百姓衆のうち、主立った者に、そこまで、来てもらってくれ」

「来ております。……お父様、縁先にも……うしろにも、村々の年寄たちが」

「そうか。……各、百十ヵ村の百姓衆に代って、聞いてくれ。遺書にも認めておいたが、五ヵ年の年月、さだめしこの与右衛門の苛酷を怨んでいたであろう。鞭で人の子を打った、人の親を打った。また敢えなく幾多の精霊を犠牲にいたした。この与右衛門の罪は大きい、何で、その村々の者からわしがきょうの祭りの馳走になれよう。……それは御領主にさしあげてくれ。またおぬし達の氏神様へさし上げてくれ。