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Japanische Klassiker mit Furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Lesen Sie 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 173.309 Zeichen · 352 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「名は」

「ございません」

「名のないやつはあるまい」

「あったそうですが、忘れました。親どもを初め、わたしの顔が猿に似ているので、猿々とばかり呼ばれて来ましたんで」

猿は、洒然として自分でそういうのである。

「なーるほど」

「似てけツかるわい」

「こいつあ猿だ」

「猿が人間の牢へまぎれ込んで来やがった」

「わはは」

「あははは」

大勢の囚人が、小男の顔をのぞいて、いちどに笑ったので、牢獄の闇は何十日ぶりで――いや何百日目といってもよいだろう、陽気などよめきに沸いた。

こんな笑い声を、牢で聞いたのは、わしも初めてだった。

二

「いったい何をして捕まって来たのだ。火放けか、窃盗か、空巣ねらいか」

次に、わしがまた訊くと、

「この岐阜の御城下を歩いていたら、淡紅梅の被衣をして、供の男に塗笠を預け、買物がてら歩いていた奥様がありました。どこの奥さんだろうか、余りきれいなので、何もかも打忘れて、私は後から従いて行きました。――するといつの間にか、道を反れた供の者が、役人を連れて来て私を指さしたかと思うと、有無をいわさず、引っ縛られてしまいましたので」

猿が真顔で答えると、周りの囚人たちもまた、指さし合って、